終身保険を比較すると、保険料は大きく異なる

同じ死亡保障でも、保険会社や種類によって保険料は異なる

終身保険は、死亡・高度障害状態になったときに保険金がおりる保険である。保障する期間は限定されていない(終身保障)。つまり、何歳で亡くなっても死亡保険金が支払われるため、葬式費用などの死後整理資金の備えや相続税対策などに活用されている。

60歳払済のように保険期間よりも保険料払込期間が短い「短期払い」が主流で、主契約の保険料は原則として値上がりすることはない(ステップ払いを除く)。解約したときに払い戻される解約返戻金が右肩上がりで増えていくため、貯蓄性のある保険として取り上げられることがあるが、満期保険金は支払われないのであしからず。

終身保険に限ったことではないが、同じ種類の保険でも、保険会社によって保険料設定は異なる。特にさまとまなタイプが取り扱われている終身保険は、契約会社を切り替えることによる差が大きくあらわれやすい。

35歳男性が終身保険500万円(60歳払済・特約なし)に加入した場合の保険料例である。一般的な「有配当・従来型」のA社の終身保険を、7つの保険会社長(済に切り替えた場合の保険料比較をしている。A社の終身保険の月払い保険料が13,650円であるのに対して、7社のうちもっとも保険料格差が大きかっだのは「無配当変額保険終身型」のソニー生命「バリアブルライフ(終身型)」の9,690円たった。

1ヵ月で3,960円、一年間で47,520円、60歳までの保険料合計で比べると1,188,000円も安いというから驚きである。変額保険終身型は契約者が運用リスクを負う終身保険(詳細は後述)なので、その分を差し引いて考えなければいけないが、魅力的な保険料といえよう。

次に安かっだのは「低解約返戻金型」だ。無配当タイプの損保ジャパンひまわり生命「ベリーグー」が10,920円、5年ごと利差配当タイプの東京海上日動あんしん生命「長割り終身」が10,945円と続いている。まったく同じタイプの終身保険であれば、JA共済「愛のかたち」の12,235円が1ヵ月で1,415円、保険料合計で424,500円安くなっている。ちょっと面倒ではあるが、複数の生保・共済で見積もりをとって比較することが、わが家のフトコロにどれだけ影響を与えるかがわかるだろう。

変額保険終身型の「安さ」の理由

変額保険終身型は、保険料(積立金)を株や債券などに投資し、その運用実績に応じて保険金や解約返戻金が変動する終身保険である。つまり、運用リスクは原則として、契約者が負う終身保険なのである。

ただし、死亡した場合に限って、あらかじめ定めておいた基本保険金額を下回ることがないように最低保証されている。運用実績が基本保険金額の予定利率よりも上回れば「変動保険金」が加算されるが、予定利率よりも下回った段階で死亡したとしても、基本保険金額が死亡保険金として支払われることになる。このように特殊な保険であるため、一般の保険料運用二般勘定)とは切り離して、「特別勘定」で運用されている。

特別勘定は複数の投資信託(ファンド)からできていて、契約者が自由に選心ことができる。特別勘定の種類は保険会社ごとに違いがあるが、日本株に投資するもの、外国株に投資するもの、外国債券に投資するものなどがあり、2つ以上のファンドに振り分けて運用することもできる。

変額保険終身型の保険料が安い理由は、ズバリ、死亡保険金の最低保証(基本保険金額)を計算する際に適用される予定利率が高いからである。標準的な有配当保険の予定利率が1.5%、無配当保険で1.75%であるのに対して、ソニー生命「バリアブルライフ」は3.5%である。予定利率は高ければ高いほど、保険料は安くなる。その差が結果として現れたのだ。

とはいえ、解約返戻金には最低保証がない。市場環境が悪化して運用が低迷しているときに解約してしまうと、スズメの涙ほどの解約返戻金しか戻ってこない可能性もある。この保険は、解約返戻金を老後資金に使おうと思っている人には向いていない。あくまでも解約しないことを前提に利用すべきである。

低解約返戻金型と積立利率変動型のしくみ

低解約返戻金型は、保険料払込期間中の解約返戻金を通常の7割に抑えることで、保険料を割安に設定している終身保険である。東京海上日動あんしん生命「長割り終身」のパンフレットによると、同配当タイプの従来型に比べて、月々の保険料は約16%安くなっている。

言い換えると、保険料の払込満了と同時に通常の終身保険と同額の解約返戻金になるので、保険料が安い分だけ老後のオトク感が高いともいえよう。変額保険終身型と違い、契約時に解約返戻金の推移がわかっているので、保険料払込期間を定年退職年齢である「60歳まで」にしておけば、解約返戻金を老後資金に活用することもできる。

積立利率変動型は、毎月積立利率が見直される終身保険である。保険料(積立金)は国債などの比較的安全性の高い金融商品で運用され、それに応じて積立利率が決定するしくみになっている。積立利率には最低保証があるため、どんなに市場金利が下がっても、それを下回ることはない。

ちなみに、アリコジャパン「積立利率変動型終身保険」の最低保証利率は1.75%。無配当タイプの従来型終身保険の標準利率と同じである。積立利率が上がれば解約返戻金や死亡保険金が増えること、また日本の市場金利の長期低迷がこのまますっと続くとは考えにくいことをかんがみると、変額保険終身型、低解約返戻金型に比べて割安感は劣るものの意味のある保険といえよう。

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