退院から何年経過していれば保険に入れる?

保険契約の公平性を保つために行なわれる「告知書」とは

生命保険に加入するには、保険の対象となる被保険者の現在の健康状態や、過去の病歴、現在の職業などを申込書の告知欄(告知書)に記入することになっている。これは、保険会社が申し込みを引き受けるかとうかを判断する重要な事実に関して、契約者または被保険者は、ありのままに保険会社に告げる義務(告知義務)があるからだ。告知書に記入した内容によっては、保険料が割り増しになったり、保険金の削減などの一定の条件をつけられたり、最悪の場合は契約を断られることもある。健康状態に不安のある人にとってみれば、告知義務は頭の痛い問題だ。

告知書の中身は保険会社や保険商品によって違いはあるものの、大半のものに盛り込まれているのが「過去5年以内の病歴」に関する質問である。過去5年以内に「病気やケガで継続して7日以上の入院をしたことがあるか」「手術を受けたことがあるか」などといった質問に答えなければならない。

裏を返せば、退院から五年を超えていて、かつ、現在の健康状態等に問題がなければ、保険に加入できる可能性はぐっと高くなる。被保険者にしてみれば、告知義務は、自分がふるいにかけられているようであまりいい気持ちはしないものだ。しかし、これにはれっきとした理由がある。同じ年齢、同じ性別のA さんとB さんの例で解説しよう。

Aさんはこれまで入院したことがなく、会社の健康診断にもひっかかった経験はない。一方Bさんは、ガンに侵されて入院生活を送っており、余命6ヵ月と診断されている。この二人がいま、一定期間内に死亡した場合に保険金が支払われる定期保険にまったく同じ条件で入れるとしたらどうだろうか。余命六ヵ月のBさんのほうが保険金を受け取る確率は格段に高く、また、死亡した場合は保険料を払い込む必要がない。

満期まで保険料を払い込む可能性の高い健康体のAさんにしてみれば、Bさんと同じ保険料なんて不公平極まりないと感じるだろう。このように、同額の保険料を払っているメンバーの中に、統計上の死亡率などに影響を与えるような健康状態に問題を抱えている人が含まれてしまうと、保険会社が支払う保険金の総額が予定よりも多くなり、健全な保険制度の維持・運営ができなくなる。

そこで同程度の健康状態の人たちが同じ保険グループを構成することができるように、保険会社が被保険者の健康状態を調査して、その人と保険契約を結ぶかどうか、またはその条件で引き受けでよいかとうかを決定しているのである。

病気を告知しないで保険に入ると、保険金が支払われない場合がある

告知書に記入する際に、うっかり、またはわざと事実とは違うことを告げたり、大事なことを言わなかったり(書かなかったり)した場合は、「告知義務違反」となる。たとえば、1年前に胃潰瘍で九日問入院していたにもかかわらず、その事実を告知しなかったり、プロレスラーなのにサラリーマンだと嘘をついて加入した場合などがそうである。では、保険会社に告知義務違反がばれたときは、どうなるのだろうか。

契約または復活から2年以内に告知義務違反が発覚した場合、保険会社は保険契約を解除することができる。そして、解除時に解約返戻金があれば契約者に払い戻されて、契約は終了することになる。

告知義務違反による解除は「さかのぼって契約をやめること」を意味するため、保険事故 が発生した後に契約解除が行なわれた場合であっても、保険会社は保険金等の支払い義務を負わなくてよいということになる。しかし、告知義務違反の事実と保険事故との間に因果関係がないときは別で、保険契約を解除したとしても、保険会社は保険金等を支払わなければならない。たとえば、心臓病の持病を隠していたことがばれたとしても、その死因がガンであった場合は死亡保険金を受け取ることができる。

告知義務違反による保険会社の解除権は、「ご契約のしおり」または「約款」に明記されている。これによると、解除権には時効があり、「契約日または復活日から二年以上有効に継続した場合」または「保険会社が解除の原因を知ってから1 ヵ月以内に解除を行なわなかった場合」に、保険会社は保険契約を解除することができない。

しかしこれらの冊子には、告知義務違反による解除とは別に、「保険契約者または被保険者に詐欺の行為があったときには、その保険契約は無効になる」という一文が明記されている。重大な告知義務違反の場合は詐欺とみなされることもあり、そうなると、何年経つでも無効になってしよう。万一のときに役に立だない保険では意味がない。保険契約の引き受け基準は保険会社ごとに温度差があるし、最近では健康状態にかかわらず加入できる保険(無選択型保険)も増えている。正しい告知を心がけよう。

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